誤りを自己発見できる『円柱さし』が導く4つの効果!

円柱さしの全4種類の画像

円柱を抜いたり、穴に差したりするだけのシンプルな 教具 「円柱さし」

シンプルなだけに「すぐに飽きてしまうのでは?」と思いきや、意外なほど子供は夢中になります

いったい何が子供を魅了するのでしょうか。

今回は、モンテッソーリ教具「円柱さし」に秘められた驚くべき効果と魅力、使い方について紹介させていただきます。

ご家庭で教具を用意する場合の注意
もし、お子さんがモンテッソーリ園などで教具に出会う機会があるのでしたら、ご家庭に教具を用意しないことをおすすめします。
モンテッソーリ教育では、教具の第一印象を大切にしており、逆効果になる場合があるからです。
僕のように、定員オーバーなどで「モンテッソーリ園に入れなかったけれど、モンテッソーリ教育を通じて子供の自立心を育てたい!」と思われている方の参考になれば幸いです。

モンテッソーリ教具の「円柱さし」とは

モンテッソーリ考案の教具「円柱さし(cylinder blocks)」は、大きさが異なる10個の円柱と穴があり、1つの穴には決まった円柱しか入らないようになっています。

円柱と穴の形状を見比べ、穴にピッタリはまる円柱を選ぶことで、子供の見る力(視覚)を鍛えていきます

円柱さしは、モンテッソーリの数ある感覚教具(五感を育てる教具)の中で、子供が初めて使う感覚教具として位置づけられているほどの教具です。

対象年齢は2歳半~4歳が目安とされています。

4種類の円柱さしで子供が得られる体験

円柱さしは全部で4種類あり、それぞれに円柱さしA、B、C、C’と名前が付いています。それでは、1つずつ円柱さしをご紹介します。

<円柱さしA>

円柱さしA

高さが変化し、太さが一定の円柱さしA。穴の深さに合った円柱を探すことで、長さ(1次元)の変化を体感することができます。

<円柱さしB>

円柱さしB

高さが一定で、太さが変化する円柱さしB。円柱さしAとは逆に、高さは一定ですが太さが変わるため、穴の大きさと円柱の太さを見比べることで、面積(2次元)の変化を体感することができます。

<円柱さしC>

円柱さしC

太くて高い円柱から、細くて低い円柱に変化する円柱さしC。円柱さしAとBの変化を組み合わせた応用編となり、体積(3次元)の変化を体感することができます。

<円柱さしC’>

円柱さしC'

細くて高い円柱から、太くて低い円柱に変化する円柱さしC’。円柱さしCの逆パターンとなっており、こちらも体積(3次元)の変化を体感することができます。

これらの円柱さしの個数と種類には意味があり、のちの算数教育へとつながっています。

具体的には、10個という個数は十進法の感覚を、種類は長さ・面積・体積の次元の変化を感覚的に理解できるようになっています。

カラフルな円柱さしは?
家庭用として、子供の興味を引きそうなカラフルな円柱さしを見かけますが、形の変化だけに集中できるように考案されたモンテッソーリの円柱さしとは、別物と思っておくとよいでしょう。

使い方の工夫次第で最大165通りの遊び方が可能

円柱さしには「165通りの遊び方」があると言われています。その基本となる使い方をご紹介します。

円柱さしの遊び方例
  1. 円柱の抜き差し(最初は円柱さしBが子供にとって分かりやすい)
  2. 穴にあった円柱を探す
  3. 円柱と台の距離を離す
  4. 円柱さしを複数(2~4個)にする
  5. すべての円柱さしの中から同じ円柱を見つける:全5組
  6. 台をなくして、円柱を順番に並べる
  7. 目隠しをして円柱を差し込む

これらを組み合わせることで、穴に抜き差しするだけのシンプルな構造とは思えないほど、遊び方の幅が広がります。

円柱さしで遊ぶことで得られる4つの効果

それでは、このような円柱さしを使って遊ぶことで、子供がどんな能力を養え、そしてどんな素敵な未来へと導いてくれるのか、円柱さしに秘められた4つの効果を紹介します。

「書く」動きの基礎作り

円柱さしの持ち方

自分の想いや考えを伝えるために、「書き表す」ことって大切ですよね。

とはいえ、鉛筆やペンを使って初めから書ける子はいません。

そこで「書く」動きの基礎作りとしても、円柱さしは役立ちます。

円柱には鉛筆と同じ太さのつまみがあり、親指・人さし指・中指の3本指でつまみあげる動作が、そのまま鉛筆を持つ時の握る方になるからです。

そうとは知らず3本指で円柱をつまみ上げながら重さの違いを楽しんで遊んでいた娘でしたが、気がつくと鉛筆も同じように持っていました。

円柱をつかむのと同じ感覚なので、自然と正しい鉛筆の持ち方につながったのでしょう。

そのうえ、5歳ごろには筆記具を工夫して使うようになり、筆圧のある文字だけでなく、力加減を調整しながら濃淡のある絵までを描くようになりました。

さらに「パパ、だいすき」という気持ちを、文字と絵で書き表してくれたことがあり、胸の奥がジワ~と温かく幸せないっぱいな気持ちにしてくれたことを今でも覚えています。

自分の思いをうまく書き表すことで、まわりの人を幸せにするような子に育ってくれたら嬉しいですね。

大きさを見分ける力を育む

円柱と穴の見比べ

円柱を差し込む時、穴をよく「見て」合わせることで、大きさを見分ける力が育まれていきます

円柱差しに出会った時の娘(当時4歳)は、当てずっぽうに円柱を差し込んでいましたが、数ヶ月も経たないうちに、見ただけで間違えることなく円柱を差し込めるようになりました。

そして、わずかな「大きさの違い」を見極めるようになり、好きな食べ物の時など、一番大きい物を選ぶために見分ける力を発揮しています。

おかげで、なぜか美味しい食べ物に限って、パパが一番小さいという日々になりました。

鋭い観察力を養う

円柱全ての変化パターン

円柱の大きさのみが決まったルール変化することで、観察力を養ってくれます

例えば、円柱さしA(太さだけが異なる)の場合、太さの変化だけに意識を集中することができます。さらに、それぞれの太さの違いや変化のパターンを子供自身が発見することで、注意深く見るようになります。

大人でも見誤ってしまうほどのわずかな変化や一定のパターンが、子供の観察力を研ぎ澄ましてくれるのです。

理論的に考える練習

グループ分けをしている娘の様子

円柱それぞれの形状の違いが、理論的に考える練習になります。

「同じところ」や「異なるところ」を探すことそのものが、理論的思考だからです。

娘が円柱さしで遊んでいる時「これはみんな同じ太さ、でも高さが違う!」と言いながら遊んでいました。これはまさに理論的に判断している瞬間で、子供の成長には本当に驚かされます。

成長するにつれて理論的思考は精錬され、「パパはおっちょこちょいだと思うよ。買い物で買い忘れが多いから!」などと良くも悪くも理論的に物言うようになりました。

子供を魅了する3つの秘密

円柱さしのどこが魅力的なのか、実際に使ってみてよくわかりましたので、娘が特に驚いていたポイントを3つご紹介します。

みんな同じ?出したらビックリ!

見た目が同じ円柱さしB,C,C'

円柱さしは、一見みんな同じに見えます。

ところが円柱さしを抜いてみると、どの円柱も大きさが違います。初めての時の子供の様子を見ていると、面白いですよ。特に、太さが同じ円柱同士は上からの見た目が同じなのに、抜いてみると予想外に長かったり短かったりするため、抜いた時に「あれっ?あれっ?」と、イメージと違う発見に驚いています

この「不思議、発見!」が、たまらないのですね。

クセになる入った時のスッポリ感!

斜めは入らず、まっすぐだとスッポリ入る様子

円柱さしをはめ込む時の「スッポリ感!」が、子供にとってはたまらないようです。

円柱と穴の加工精度が高く、そのため穴に対して円柱を入れようとしても、円柱が傾いていたりすると、つっかえて入りません。

娘も最初のうちは、円柱を斜めにして入れることが多く、簡単に入りませんでした。ところが円柱が真っ直ぐになった瞬間、穴に吸い込まれるように「スッポリ!」。

入った瞬間の子供の目の輝きようは、見ている僕も爽快でした。

間違えても大丈夫。自分でできるから!

間違えた時の様子

円柱を間違った場所に入れたままにすると、最後に穴に合わない円柱が必ず残るようになっており、間違えが目立ちます。

いつも自信満々な娘ですが、円柱さしをしていて最後に穴に入らない円柱が残ると、ピタッと動きが停止します。

そして「どこが違ったの??」と一所懸命に間違った場所を探し始めます

試行錯誤しながら、円柱すべてを差し込んだ時の「自分でできたっ!」という顔には、達成感で満ちていて、健やかな成長に涙が出そうになります。

最後に

モンテッソーリが感覚教育で最初に使う教具として位置づけた「円柱さし」は、いかがでしたでしょうか。

機械的に間違えを子供自身で気づくことができるので、子供に教える自信のない方にとっては嬉しい特徴ですね。

初めて僕がこの教具の奥深さを知った時の衝撃は、今でも忘れられません。

この機会に「円柱さし」で遊ぶことで、子供の「一所懸命に成長しようとする姿」「自信に満ちた笑顔」に出会った時の感動を体験してみてください。